春に咲く柚
(……それなりに寝てたかな……?)


それは分からないが、けどとても目は冴えていて、身体は軽く感じた。


と、そこで目に付く、一人の少女。


懸命に背伸びをして、手を伸ばして、上の方にある本を取ろうとしている。


俺はその姿を微笑ましく思い、薄く笑みを零すと、本棚から下り、立ち上がると、少女の背後に立って、本を手に取った。


微かな物音にこちらを向いた少女は、とても可愛らしい容姿をしていた。
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