春に咲く柚
朝っぱらから陰気な奴だ。


けど理由を承知しているだけに、何も言えない。


「仕方がないだろ、尚人。彼女とペアになれるのなんて、何分の一の確率だよ」


現在は一時間目の真っ最中。


来週に行われる親睦会、通称”校内のみの文化祭。”のペア決め用のリボン配り中だ。


そして尚人は、彼女とペアになれなかった為、大変落ち込んでいる、という状況だ。


「分かってたけどさぁ。けどやっぱ、折角なんだから一緒に回りたいじゃんか……」
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