春に咲く柚
その発言に、何か変なことでも言ったか?
と思ってしまう程驚いた表情になる尚人。


「え!? あの柚が女の子を選ぶなんて、初めてじゃない!?」


その言葉は、大変不本意だった。


「人聞きの悪い言い方すんじゃねぇ。俺が遊び人みたいだろうが」


眉間に皺を寄せてそう言うと、「ごめん」と言って尚人は静まった。


それでも驚いた様子は消えず、言う。


「けどやっぱり珍しいでしょ。どうしたの? 知り合い?」
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