春に咲く柚
飄々とした、よく分かりづらい奴だと思った。


ずっとニコニコしているようで、けれど笑っているようには見えなくて、少し近寄りがたい雰囲気を持った男だった。


「で、君が僕のリボン欲しい言うてた人?
何でこんなん欲しいん?」


まあ、そう思うだろう。


「知り合いの女の子がそのリボンらしくてさ。どうせなら知ってる奴の方が話しやすいだろう?」


俺の話に、「まぁ、せやな。女の子なら尚更やしな」と同意を示す恋。
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