春に咲く柚
次いで、どことなく意地の悪い笑みを浮かべた柚先輩を見て、ようやく私がからかわれていたことに気付く。


「ヒドイですよ、柚先輩!」


と抗議する私を、


「怒ってもちゃんと『柚』って付けてくれる辺り。流石綺咲だね♪」


と一蹴する柚先輩。


けれどその時、私は気付いたんだ。


柚先輩が、とても楽しそうに笑っていたことに。
 
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