春に咲く柚
ならばもう、


「考えなくて良い、かな……?」


疑問系に小さく呟くと、俺は支度を始めた。


Yシャツを羽織り、ネクタイを絞めると、鞄を手に取り、自室を出る。


階段を下りてリビングに入ると、視界一杯に広がる荒れた室内。


だらしのない、どうしようもない父親が散らかしたのだろう。


また、昼夜問わずパートに出掛けている母に、家事を行う余裕はない。
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