君へ花を届けよう
「…涼!!!!!」
俺は涼の元へと走り出し、笑顔で振り向く涼を力の限り思いっきり押した。
───ドンッ!!
身体全体に鈍く、強い痛みが走った。
その理由はすぐに分かった。
…車にひかれそうな涼を庇い、俺がひかれたのだ。
痛い....頭が、手が足が....身体が痛い.....。
薄れる意識の中、涼の悲しげな叫び声と救急車のサイレンの音....周りの人の悲鳴。
全てが入り交じって聞こえる音は心地の良いものではなかった。
俺が最後に目にしたものは、涼の泣き顔と、淡い輝きが散りばめられた夜空だった。