夢を忘れた眠り姫
そう取り決めをした割には私達、結構お互いのプライベートの深い部分まで把握しちゃってるけどね……。

でも、やっぱり彼との関係性まで事細かに説明する必要はないと思うので、ありがたくその言葉に従う事にしたのだった。

休みが明けるのも早かったけれど、日常が巡るのも同様で。

仕事が始まってから瞬く間に4日経過し、気付いた時には金曜日の朝を迎えていた。

そして貴志さんと暮らし始めてから約2週間経過したのだという事に気が付く。

色んなイベントが目白押しで、とても濃い半月であったし、個人的な問題を抱えてはいるけれど、彼との同居生活自体はホント、これといってトラブルもなくスムーズに進んでいると思う。

といってももちろん、二人の暮らしはまだまだ始まったばかりで、これからどうなって行くかは分からないのだけど。

しかし最初に抱いた直感通り、貴志さんはとても「ウマ」が合う人だし、ルームシェアに関しては波風立つ心配はないのではないかと思っている。

そんな事を考えながら私は布団から抜け出した。


「それじゃあまた会社で」

「ああ」


出勤の準備が整い、いつものごとく私が先にマンションを出て駅へと向かう。

とりあえず、今日を乗り切れば明日からまた三連休だ。

それを励みに頑張って仕事しよう。


……その途中で、あまり愉快ではないスケジュールをこなさないといけないのだけど。
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