吸血鬼
M小学校に通う田中嘉樹君は、大の読書家でした。その為かまだ小学六年生にしては、豊富すぎる知識を持っていました。
ある日、田中君は、学校の図書館で、江戸川乱歩の『怪人二十面相』を読み終え、下校していました。田中君の脳内では、あの明智小五郎と怪人二十面相が東京駅で対决するシーンがまるで、一本の映画の如く再生されていました。
ですが、田中君は、ふと立ち止まって思わず「おや?」と呟いてしまいました。
それはいつも、下校の途上でよく通る公園の様子がいつもとは違うからでした。
そこには、滑り台だとかブランコ等のいたって普通の遊具しか置いていないはずなのですが、その公園の真ん中に奇妙な物がぽつんと置いてありました。
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