好きな人の好きな人。【完】
それから少し中庭で寛ごう、なんて
ただ気分を紛らわすために来たようなものなのに。
それからしばらく空を見上げる。
私が親からもらったこの空という名前も、
生まれた時に窓の外に魅入った空に見とれてつけたらしい。
私はずっと心が広いとかそんなものだと思ってたんだけど。
そんな風に時が流れるのを感じていると、
「別れよう、私達。
もう限界だったんだよ。」
掠れた声が耳に響いた。
「分かった。じゃーな」
それに続く酷く冷たい声。
まるでそれを望んでいたかのような風にも取れる。
「…待ってよ。
そうやって健斗はいつも冷たいよね。
私のこと、少しでも好きじゃなかった?」
「ん。バイバイ」
眩しい空に、哀しい言葉が反射した。