好きな人の好きな人。【完】
翔side
たたっと俺に背中を向けて、
あの後輩のもとへ走っていく空。
「ほんとに、言える時に言っておかないと後悔するな…」
俺の呟きが虚しく廊下に響く。
「あの、翔先輩ですよね?」
後ろを振り返ると、
小柄な女の子の視線が俺に向けられていた。
「…ん?そうだけど?」
「あの、す、好きなんです!
本当は後夜祭に言いたかったんですけど先輩人気あるし、言えないと思って。
でも先輩__好きな人いたんですね…。」
「盗み見が趣味なわけ?」
「た、たまたまです!
でもそれでも…好きです。
諦めたくないんです。
先輩の心、掴めるように頑張ってもいいですか?」
「ふっ、出来るもんならやってみなよ。」
不思議とこの子の言葉に心が軽くなった気がした。
__この二人がくっつくのは、もう少し先のお話。