好きな人の好きな人。【完】



「じゃ、行こっか。」

「はい。」


ニコッと微笑む先輩に笑い返す。


こうやって一緒に帰ることができるなんて思いもしなくて。

好きが溢れて零れてしまいそうになる。


それでも、叶わないなんて思ってしまう自分に悲しくなった。



「そういえば、もうすぐ文化祭あるよな。

海音のとこはもう決まった?」


さりげなく話題をふってきてくれる先輩に感謝しながら、


「メイド&執事喫茶らしいです。

欲張りすぎですよねほんと。」


「海音も着るの?」


「き、着ませんよ!似合いませんし。」


慌ててそう言い返す。

思わぬ返しに驚いたのも事実だ。


「えー、つまんねーの。着たらいいのに。

見に行ってやるからさ。」


そんな他愛のない会話に

少しだけ胸が熱くなった。



お願いだから、

__期待させないで






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