好きな人の好きな人。【完】
「ん、家ここ?」
辿り着いた先に歩くのをやめる。
「はい。先輩、家、近かったんですね。」
「んー、まあな。
ホラ、早く家入れよ」
「見送ります。」
「いーから。気遣うなって。
俺そういうのマジ苦手なんだよ。」
そういって私の背中を軽く押してドアの前へと追いやった。
「それとも、さっきの続きここでして欲しい?」
そんな先輩の意地悪な言葉に赤面して、
「は、入ります!お気を付けて!」
なんて言って逃げるようにドアに向かう。
「バイバイ、空」
“空”
その言葉にますます体温が上昇する。
今まで深く関わったことはあまり無かったからこそ、
この呼び方に鼓動が速まる一方だった。