好きな人の好きな人。【完】
風が髪を靡いて、声を届ける。
“死ぬなら、したいことしてから死ねばいーのに。
勿体ない ”
止めることもなくただぽつりと呟く声。
時々屋上に来る私の、唯一の話し相手だった。
“死ぬ勇気があるならもっとできることがあるんじゃねーの?
仕返ししてからじゃ遅えの?”
惹きつけられる目が私を捕らえて、
初めて気がついたこともあった。
あぁ、私誰かに生きて、と言って欲しかったんだってそう思った。
素っ気ない言葉だったけど、
それでも私は、救われていたのだから。