好きな人の好きな人。【完】
ふっと現実に目を覚まし、前を見据える。
「屋上?」
「気づくのおっせ。
俺はみた瞬間お前だって気づいたのに。」
世界は狭いな、なんて老人くさい言葉を思った。
あの頃の記憶なんてもう持ちたくもなかったのに。
「笑いたいなら帰ってよ。」
あの頃のことは、もう過去にすぎない。
人を想うことを知った自分に
世界は広いんだってことを知った自分に、
少しだけ強くなれた気がした。
__こいつのおかげで。