好きな人の好きな人。【完】
先輩とは、“委員会が同じ”という接点しかないけど、
かれこれ風紀委員は1年以上続けてる。
それは先輩も同じで。
そして、今年の春、先輩は風紀委員長の座についた。
それから注目度も増えて、先輩の良さを知る人も増えて。
そんな先輩が、私の方を向いてくれる事がないなんて当たり前のことだった。
_もしもあの時、先輩に出会ってなかったら、
もしかしたらこんな想いはしなくてすんだのかもしれない。
先輩が仲良く女の人と歩いてるのを見るだけで
隣が私だったら、なんて何回おもったんだろう。
「あっ、空!中庭見て!
あそこに座ってる一番右の子かっこ良くない?」
そういって遥香は、はやくはやくとせがんでくる。
そんな期待を押し潰してしまうかのように私は、
「先輩の方がかっこいい。」
と、俯きながら呟いた。