寒くて暖かい晴天
思いきりムニッと晴輝くんの頬を摘まんだら、お返しとばかりに彼も私の頬を摘まむ。

「びょうれんはいらのはあんられしょ!(暴言吐いたのはあんたでしょ!)」

「びょうりゅふはんらいらよ(暴力反対だよ)」

お互いに見つめ合って、それから同時に摘まんでいた指を外した。

「スルメ食べないなら、ポテチ食べよっか」

溜め息混じりに言うと、彼は吹き出す。

「……下準備ぬかりないね」

「せっかくだもん。札幌帰っても、もう桜は見れないし」

「山桜ならこれからじゃない?」

「あー。実は桑園駅の近くの公園で、山桜咲くって聞いたなぁ。晴輝くんも大学近いね」

そんなことを言いながら、ポテトチップスの袋を開けて無言で差し出すと、晴輝くんは笑いながらポテトチップスを食べだした。

……なんかのどかだなぁ。

ぼんやり、のんびり、ゆったり、良い感じだよね。

「晴輝くんは彼女出来たの?」

足を伸ばすと、彼はそれを見てからあっさり首を振る。

「大学生活で彼女いないのはつまらないんじゃないの?」

「……生活を面白くするために、彼女が欲しいわけじゃないよ」

あらまぁ。本当に言うようになったね。

クスクス笑うと、シートに寝転んだ。

本当に良い天気だなぁ。

もう少ししたら、上着もいらない時季になる。

桜の花びらがヒラヒラと落ちてきて、綺麗な晴天の青空から降ってくるみたい。

ポカポカして気持ちいいなぁ。

そんなことを考えていたら……。
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