レンタル彼氏


「円香先輩大丈夫っすか?」
翔太が気づいた。


「なにが?」


「同じようにオエッてなってません?」


「なってない!なってない!
あたしは夏風邪!!!
もしくは水口さん見て伝染?
なわけないでしょ」


翔太の肩を叩きながら
冗談っぽく笑い飛ばしてみるけど
来なければ良かった
帰りたいと思うばかり。


するとこっそり耳元で美奈先輩が
「あんたもつわり?
ってか相手誰?」と聞いてくる。


「違いますって」


「あっ!あれか?吉田?
最近お近づきだよね?」


美奈先輩
あたしが主任が好きなの知ってるくせに
それを言う?


「吉田さんにも迷惑かかるので
やめてください」


つい荒い口調になってしまう。


「そんなに怒んないでよね」


「すみません」


「まだ好き?」


「えっ?」


「それ」と顎で主任を指す。


「まぁ・・・そんなすぐには
・・・あれですけど
あれ見てると・・・辛いと言うか」


2人を目のあたりにすると
辛いと。


「あれ 付き合ってると思う?
あたしにはそー見えないよ」


美奈先輩はそう言うが
どう見ても仲良いし
そんなオーラでてるし。


結婚するのを知らないから
美奈先輩はそんなことが言えるんだよ
あたしは知ってるから!
水口さん本人に聞いて
口止めされてるんだから。


「もうどーでもいいんです」


「おい!そこ!
コソコソ話をするな!」


主任があたしと美奈先輩を
指差した。


「あらぁ ごめんなさいっ!
まぁ 話題は恋愛話だったんで」


余計な一言。。。


「今 円香の好きな人を聞きだしてたの」


嘘ばっかり言う先輩に


「七瀬の恋バナか?
聞きたいなぁ」
課長が食いついた。


「嘘ですよぉ〜
恋バナなんてしてませーん」
全面否定のあたしと
「あはは」とバカ笑いの先輩
みんなはつられて笑っていた。



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