レンタル彼氏


会社に到着したものの
主任は手を繋いだまま。


「この手・・・」


「この手がどーした?」


「いや。。。ちょっと恥ずかしい
ってか 恥ずかしくないの?」


「別に・・・」
と言ってたものの
目の前から専務が歩いて来てるのが
見えた途端
「円香が恥ずかしいって言うなら
離してやるわ」
と 手は解かれた。


「自分だって恥ずかしかったんでしょ?」


「・・・さすがに専務はなぁ〜
それに仕事中だし」


「ふふふ」
と笑うあたしに
「その勝ち誇ったような笑い
やめてくれない?
笑ってる余裕あるのか?
総務課そこだぞ」


「あ・・・」


「ふふふ」
今度は主任が笑い返した。


「帰りました」
と主任が中へと入り
あたしがその後を入った。


「おう!おつかれ
時間かかったんだなぁ」


「別件もあったので」


『別件ねぇ
別件 別件』意味ありげに言う先輩と
翔太のニヤニヤした視線。


「あれ?七瀬どーした?」
課長があたしに聞いた。


「あっ・・・あの・・・」


「まさか???」


まさかとは?


「いきなり?それは困る」と続く課長。


「えっ?課長 何ですか?」


「やめる報告だろ?」


先輩や翔太たちの
「あはは」笑いが飛び交う。


「辞めませんよぉ〜」


「じゃあ何?
わざわざ 有給のくせに
私服で乗り込んでくるとは?」


「あのぉ・・・」


あたしが何を言っていいか困ってるのに
何も言わない主任。


ーーー守ってやるから?ーーー


そう言ったのに!!!


「し・主任・・・」


あたしは主任を見た。


主任はフッと笑って


「報告があるので
ちょっとみんな手を休めて
集まってくれる?」
と声をかけてみんなを
課長席の周りに集めた。




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