レンタル彼氏


「あれ?円香ちゃんまだ帰らないの?」


あたしに声をかけてきたのは
華子の彼の友人営業課の吉田さん。


「もう少しかかりそうで・・・
吉田さんは?もうお帰りですか?」


「うん 帰ろうかな?と思って
ここを通ったら
円香ちゃんが見えたから
お立ち寄り(笑)」


「あっ!コーヒーでも飲みますか?」


「いれてくれんの?
えっ?時間大丈夫?
居残りしてるんじゃないの?」


「あたしの仕事じゃないので」


「うん?円香ちゃんの仕事じゃない?」


「そう」


「そっかぁ じゃあ
いただこうかな」


あたしはコーヒーを入れ
吉田さんに差し出した。


華子たちの話で盛り上がり
気づけば10分は経っていたようだ。


「あっ 主任にコーヒー持って行かなきゃ」


吉田さんと別れて
総務課へ戻り
「主任 コーヒーどーぞ」
仕事を続けている主任のテーブルに
そっと置いた。


「あいつのことか?
神崎が言ってたやつって」


「えっ?」


「今 一緒に居たやつか?
お前のことをどーのこーのって」


「吉田さんのことです?
違いますよ そんなんじゃないです
えっ?今吉田さんと居たこと
なんで知ってるんですか?」


「あまりにも遅いから
行ってみたら仲よさそうにしてたからさ
邪魔したら悪いと思って」


心配かけてごめんなさいと
謝ると別に心配したわけじゃなく
もしあたしに何かあったら
美奈先輩にうるさく言われるから
仕方なしに行っただけと言った。



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