レンタル彼氏


前に一度 総務課内の掃除をして
主任の大切な書類を
捨ててしまったことがある。


それ以来主任には
何かあるとすぐにあたしだと
言われてしまうのだ。


あたしが入社して
色々教えてくれたのは主任だった。


覚えの悪いあたしは
たくさん主任に迷惑をかけたから
主任の中でのあたしは
ダメ人間に設定されている。


バカだ! アホだ!と
言われつつもあたしは
主任と言い合えるのが楽しい。


「いつかパワハラで訴えてやる!」


「お好きにどーぞ」


藤堂主任は余裕の微笑み。


「課長ぉ〜なんとか言ってくださいよ
いつもこれですよ」


「あはは」


平川課長は笑うだけ。


結局探してた書類は
引き出しの中だったようで


「ごめんな」
とポンポンとあたしの肩を叩いた。


その仕草にまたキュンとなるあたし。


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