レンタル彼氏


お腹もいっぱいになり
そろそろ帰ろうかという時


「ここの支払いは七瀬が
払ってくれるってさ
これも旅行の為の食事会だしさ
オプションってことで」


「ありがとう!!!
ごちそうさまー」


美奈先輩まで・・・。


今日に限って財布の中身
少ない。


カードで払うしか無いわ。


「わかりました
あたしが払いますから
どーぞ先に出ててください」


「いいよ 払うから」
という言葉を期待したが
2人ともそんな気はさらさらなく
本当に外で待ってるねと
出て行ったのだった。


会計へと行ったあたしは
「六番テーブルですけど
支払いはカードで出来ます?」


訪ねたあたしに店員さんは
「えっ?」と
びっくりした感じで言った。


「まさかのカード使えない感じ?
あっ!伝票忘れちゃった」


「えっ?」


「さっきからえっ?えっ?
ばかりですけど 何なんですか?」


「六番テーブルでしょ?
会計済まれてますよ」


今度はあたしが「えっ?」と。


なんだぁ
主任が払ってるんじゃん。


すぐに2人を追いかけて
「主任 ごちそうさま
もぉ 本当に意地悪ですねぇ」
と 嫌味を含めてお礼を言うと
「はぁ?」と返された。


「会計済んでるって言われました」


「払ってないよ?
まさかお前!払わず出てきたか?
やべぇ 無賃?捕まるぞ」


「えっ?ちょっと戻ってきます」


慌てるあたしに
「もー!やめてあげたら?」
と 美奈先輩が笑ったのだった。


実はこっそり主任が
払ってくれてたそうだ。


「もー!びっくりしましたぁ」


からかわれて 遊ばれてるけど
それでも嬉しいあたしがいる。


結局家まで送ってもらって
その日は終えたのだった。



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