レンタル彼氏
もう時間は22時を回って
明日の仕事に差し支えるから
帰ろうと言うことになった。
「彼来なかったね」
「電話してみれば?
あたしたちも旅行前に一目
彼を見て見たいし
そこまで来てるかも
知らないじゃん」
電話してまだ来ない?
なんて言える関係でもないし。
「遅くなるとか
今から行くよとかライン来てないの?」
いちいち そんなことを
報告する関係でもないし。
「たぶん 接待とかあるから
連絡できないんじゃないのかな?」
そんな言葉でごまかす
そして
「あたしの彼は当日紹介するから
お開きにしましょう」
「七瀬さんは心広いね
うちの佐知代だったら
この時点でキレてるよ」
「あはは そーですか」
キレること自体
変な話だものあたしたちの場合。
実際恋人だったら
あたしだって電話かけまくりだよ。
「円香 寛大になったね
やけに落ち着いたというか
まだ見ぬ彼のおかげ?ってことかな」
寛大とかじゃなく・・・
まぁ それはそれで
訂正しなくていいか。
初めは合わないだろうなと
思ってた男性陣も話が弾んだようで
・・・っていうか
千歳の彼が
みんなをまとめたと言うか
見かけによらずいい人みたい。
その時あたしの携帯が鳴った
知らない番号。
あまりにも鳴り続けるので
重要な電話かもしれないと
出てみることにした。
「もしもし」
「七瀬?」
その声は主任?
「しゅ・・・あっ」
主任と言いそうになった。
「まだ居るか?」
「そろそろおひらきにするところ
しゅ・・・あっ
いまどこ?」
「お店の駐車場
居るなら行くわ」
電話を切り
彼が来たことを告げた。