レンタル彼氏
鳴ってるのに出ようとしないから
「ねぇ!鳴ってるけど?」
と声をかけた。
「ほっといていいよ」
「大事な用だったらどーすんの?」
「いいよ」
いいと言うのだから
そのままにしておけばよかったんだけど
会社とかの用事だったら困ると思って
あたしは起き上がり征吾の携帯を
取りに行ったのだ。
見るつもりじゃなかったのに
ディスプレイが見えてしまった。
そこにあったのは
着信 たかこ。
たかこ・・・。
そう水口さんだ。
それでも冷静を保ち
「はい!出てください」と
携帯を手渡した。
征吾は少し無愛想な声で対応している。
「うちに来てんの?」
「帰んないよ 明日も帰らない」
「違うってぇ 友達と旅してるだけ」
どうやら留守の征吾の部屋に
来ている様子で何処にいるのか?
など聞かれているようだ。
留守の部屋に来れると言うことは
合鍵を持ってる間柄ってこと。
痛い痛い現実に戻されてしまった。
「あぁ」なんて言いながら
あたしを見る征吾。
きっとあたしがここにいるから
話しづらいことがあるんだと
そう悟ったあたしは
口パクで
「飲み物買ってくるね」
とささっと衣類を身につけて
部屋を出た。
せっかくいい雰囲気だったのに。。。
華子に聞いてもらうしかない
そう思ったあたしは
ロビーの隅っこに行って
まずは寝てたらいけないので
確認のためラインを入れてみた。