レンタル彼氏


部屋へ戻るとまだ電話中。


早すぎたか?帰ってくるの。


「そーは言っても
こっちだって段取りってものがあるの!
はぁ?手遅れ?は
そーなったらそーなったらで
仕方ない あっ・・・」


その時あたしが帰って来たことに
気づいた征吾は黙った。


「あっ・・・早かったか・・・
もう一度下に降りてくるんで
どーぞごゆっくり」


相手には聞こえない大きさで
言ってドアのところまで
後ずさり。


すると「切るぞ!」と電話を切り
「おい!円香
余計な気を使うな」と
あたしの立ってる所までやってきて
あたしの手を取り
「さぁ!寝るぞ」と
さっきの場所へと導いた。


「電話大丈夫だった?
あたしが帰ってくるのが
早すぎたからごめんなさい」


「別に気にしなくていい」


「で・でもぉ・・・
誰かが留守に来て待ってるんでしょ?」


「えっ?」


「なんかそんな感じだったから」


「だから お前が気にすることはない」


「でも・・・
まぁ!今はあたしの彼氏なんで
こうして寝ちゃいまーす」


ここはふざけるしかなかった
そうしないとあたしの心が折れちゃう。


ふざけて征吾に纏わり付いて
上向きに転んでしまった征吾の上に
寄りかかり抱きしめた。


「また誘ってんの?」


「違うよぉ
こうして寝たいだけだよ
おやすみ」


征吾の胸に顔を埋めた。


・・・が眠れるはずもなく
目を閉じてるだけ。


「寝ないのか?」


寝てないのはわかってるようで。。。


「ギュッとしてくれたら
ソッコーで寝れますけど・・・」


「マジか・・・お前・・・」
などとボソボソと言いながらあたしを
ギュッと抱きしめた。


「え?何?」


「もう黙れ!
黙って寝ろ!」


それからしばらくしてあたしは
征吾の腕の中
心地よさに意識を失った。







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