レンタル彼氏


席へと案内されて
座って待ってると乾杯用のシャンパンが
運ばれてきた。


「いらっしゃいませ
ようこそ源五郎へ」


そう話ながら シャンパングラスに
注ぐ店員さん。


お店の雰囲気や店員さんの制服と
【源五郎】という名前のギャップに
笑いそうになるが
ぐっと我慢。


「カンパイ!
今日もおつかれさん」


「おつかれさん?
なんかぁ〜仕事モード」


「じゃあ なんて言うの?」


「うーん
それもそーだよね」


「意味不明・・・」


誕生日なんだよね
って言ったら
おめでとうぐらいは言ってくれるよね。


言ってみようかな。


「あのぉ 今日・・・」


あたしが勇気を出して
言おうとしてるその時
前菜が運ばれてきた。


ナイスなタイミング
これは言うなと言うことなのか?


言うタイミングを失ってしまった。


そして テーブルには
ステーキが運ばれてくる。


お肉は柔らかくて
すごく美味しい。


「美味い?」


「はい!」


「それなら良かった
しっかり食べろ」


「ねっ!
どの人が義兄さんの知り合いなの?」


「オーナーだから
この場に居ないんじゃない?
オレが来るのは伝えてるみたいだけどね
サービスはするよ!って
言ってくれたから」


「そーなんだ
直接 お礼言われないね」


「お礼なんていいよ」


そっか。。。
会わない方がいいわけだ。


そーだよね・・・。







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