レンタル彼氏



「華子ぉ〜やばいよぉ〜
ヤバイよぉ〜」


「なによ!
会っていきなりやばいよぉ〜ってさ
あんたは出川か?」


「もー人生の終わり!」


「大袈裟すぎるーウケるわぁ
あれだけ幸せ幸せ!って
ハートマーク連発の
ライン送ってきててさ
だから今夜は『主任とねぇ
あーしてこーしてねぇ』って
ラブラブ話を覚悟してきてたのに
拍子抜けするでしょーが!」


「水口さんにバレちゃったの」


「はぁ???」


さっきの話を説明すると


「自分でバラすか?
バカとしか言いようがないよ」


「でも 朝 みんなの前で
その話になったから
それにしないと後であの人の耳に
入った方が怖くない?」


「でもさぁ」


「それでさ
好きなの?どーなの?って
迫られちゃった」


「で?なんて答えたわけ?」


「否定はしたよ
だけど 今頃主任とこの話になってるかも
やばいよね」


「ヤバイね」


「そこはヤバイね!じゃなくて
大丈夫よ!って嘘でもいいから言ってよ」


「大丈夫よ」


「心がこもってないっ!」


華子に食いついても仕方ないのは
わかってるんだけど
ついつい甘えが出て言ってしまう。


「いやいや 円香についていけないわ
酔っ払いのおやじみたいよ
あー言えばこー言う
まだ酔ってもないくせにさ」



「ごめん・・・」


華子は
『その嘘を突き通すしかないでしょ』
と言う。


そして それは主任が考えたことだし
みんなの前でもそう言ってるんだから
付け加えた。




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