レンタル彼氏


その様子を見てた工藤さんは
あたしが小さい声でコソコソと
話してたものだから
「ははぁ〜男だね
うん?別れ話のもつれ?」
とあたしに聞いた。


「こら!裕太さん!
別れ話のもつれとか言わないで
円香に彼氏がいないの知ってるでしょ」


「あーそーだったねぇ
ごめんごめん」


この2人!ふざけてる!
ムカつく!!!


するとまた電話がかかって来た。


「まただ」
そう呟き 出るか出ないか迷っていたら
吉田さんがその電話を取り上げた。


「迷惑してるなら言ってあげよう」


あたしが迷惑してると
勘違いした吉田さんは
ちょっとやめてくださいと
言ってるのに勝手に電話に出てしまった。


「もしもーし あのぉ〜
七瀬円香は貴方からの電話
迷惑してるみたいなんで
もうかけてこないで
やってくれますかね?」


『お前誰?』


「オレ?オレは同じ会社で働いてる
吉田と言うものです」


『吉田???』


「はい!名乗ってもわかんないと
思いますけど 次期七瀬の彼氏なんで」


『次期?彼氏?』


「はい 今夜告って
モノにするんで
どこのどいつかわかんないけど
円香のこと諦めてくださいね」


『はぁ?』


「じゃあ」


吉田さんは相手が主任だとわからず
有る事無い事
ううん 嘘ばっかはペラペラと
話して電話を切った。


「やばっ」


そう呟いたのは華子。


「へぇ?ヤバイ事言った?
円香ちゃんの為になることを
言ったつもりだけど
悪かった?」


悪かったと尋ねられても・・・。


「今夜告ってモノにするって
どーよ?ウケる!」


工藤さんが笑いながら言うと


「ほぼほぼ本気」
と冗談なのか本気なのか
そう返していた。


まぁ 主任が信じようが
信じまいがわかんないけど
主任には興味のない話だと思う。







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