レンタル彼氏
「あっ!円香ちゃん
今から帰るの?」
その声に振り返ると
吉田さんだった。
「そうです」
「昨日はあれから先輩の家に?」
「なんか途中で行くのをやめて
そのまま家に帰りました」
「何なんそれ
じゃあ もう一軒行けばよかったね」
「そーですね」
と話を合わせておく。
「今日行く?」
「今日はそんな気分じゃないので
すみません また誘ってくださいね」
「そーだね また行こっ
もう帰るんだったら駅まで
一緒に帰ろうか」
「はい」
あたしも吉田さんも電車通勤
駅からはお互い逆方向。
玄関のエントランスに着くと
まだ主任たちがそこに居た。
「あれ?七瀬さん?
吉田さんと何か?
うん?付き合ってるとか?」
嫌味な人。。。
「そんなんじゃないですよ」
すぐに否定した吉田さん
だよね
あたしと付き合ってるとか
そんなことが会社に知れ渡ったら
吉田さん迷惑だよね。
「あらそーなの?」
「付き合ってるとか 言ったら
円香ちゃんが迷惑するから」
えっ?吉田さーん。。。
「円香ちゃん???
名前で呼ぶほど仲いいのね」
「お互いの友人が付き合ってるので」
「そーなのね ふーん」
「飯でも食って帰る?って
誘ったんですけど 断られたところです」
そこまでご丁寧に説明しなくても・・・。
「それって吉田さんは
七瀬さんのことを?」
「それは秘密です
勝手に想像していただいて結構ですけど」
笑いながら答える吉田さん。
その間 主任は黙ってるだけ
全く興味ない!って感じ。
「吉田さん ご飯行きましょう」
ふと あたしの口から出た言葉
水口さんにあたしと吉田さんが
仲がいいと思わせた方が
これから先に色々言われなくて
済むのではないかと思ったから。
主任はあたしが誰と食事に行こうが
何とも思ってないだろし。
「いっいいの?
ヨシ!行こう!ではお先に」
先にあたしたちが会社を出た。