ヘタレな野獣
まぁまぁと、憤慨する矢野課長を宥めるヨレヨレ君。

「確かに、・・・今問題になっているのはそんな事ではないのは承知していますよ、それに、ここに映っているのは私達に間違いはありません」

た、確かにそうだけど、そんなにあっさり認めるの?


「では反対にお聞きいたしましょう、この写真は一体何の為に撮られたのでしょうか・・・」

「雨宮課長、君は一体何が言いたいのかね。
私には理解できないのだが・・・」

「派閥のもめ事に絡んでる訳でもないですし、僕と田崎補佐のどちらかの結婚が決まって?
身辺調査を頼まれたなんて事実もありませんしね。おかしいとは思いませんか?
僕達を調べて誰が得をするのですか?」

「・・・ん、確かに、まぁうちに派閥なんてのは存在しないがね・・・
下柳補佐、君に聞きたい、この写真は何の為に撮ったのかね」

「・・・・・」

「こら、下柳、キチンと答えなさいか!
すみません、私の指導不足で・・・」


矢野課長が恐縮しながら下柳を叱咤する。

「・・・もしかして、まさかあなた、田崎補佐を・・」
「ちっ、違う、違うんだ、」


山田部長は溜め息交じりに大きく首を左右に振る。

「ふぅ、もう下がりなさい、下柳補佐、あっ、矢野課長ももういいよ、下がって・・・」




< 101 / 148 >

この作品をシェア

pagetop