ヘタレな野獣
そう発したかと思うと、私の髪を思いっ切り引っ張った。

「ンギャ・・・」

短い叫び声を発した私は下柳に床に叩きつけられていた。

頭の皮膚が痛い、ドクドク脈を打っているのが分かる。

「ううぅう・・・お願い、ヒック、もお止めてぇ・・・ウゥウ、止めてぇ・・」

嗚咽を漏らしながら必死で止めて貰えるよう懇願した。

しかし下柳は、そんな私を笑い飛ばした。

「ぎゃははははっ!
最高だな、高ビーなお前が俺に許しを乞うとはな!!!
あぁあマジウケるし・・・あいつにも見せてやりたかったぜ、お前のこんな無様な姿」

怖い!

このままだと私、コイツに殺されるかも・・・
真剣にそう思った。


「そこで、何をしている!?」

床にひれ伏し、体のあらゆるところが痛いせいで、思うように体が動かない。

「冬子!
冬子、冬子ぉ!!!」

この声は岸田だ、岸田は私に駆け寄ると、優しく体を起こして抱き締めてくれた。

「やだ、こんなになって・・・
ゴメン、ゴメンね、冬子・・」

「ここで何をしているのか聞いている、答えて貰えるかな?下柳補佐」

この口調はヨレヨレ君に違いないけど、声のトーンが低すぎてわからない。


「チッ、よそ者のお前にゃ関係のないこった。
退けよ、俺はこの女に話があるんだ」
「これが話合いですか?
僕には一方的な暴力にしか見えませんが?」



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