ヘタレな野獣
沈黙が暫く続いて、しかし彼は言葉を発しない。

「何故、何も言わないの・・?
どうして正君のお墓に行ったの?
っていうか、そもそも何で正君のお墓の場所、知ってるの?

・・・
どうして?どうして何も答えてくれないの・・・?」
「・・・とにかく明日、必ず出社して下さい。
いいですね?」
「あたし!訴えるから!
下柳の事、訴えてやるから!!!」

頭に来た私は、そうヨレヨレ君に宣言し、部屋を追い出した。


どうして何も答えてくれないの?


私に関係ないのなら、そう言ってくれればいいのに・・・

肯定も否定もしない、そんな態度の彼に無性に腹が立った。


翌日出社すると、案の定というか、予想していた通り、従業員の視線が突き刺さる。


「おはよう、」

努めて明るく事務所に足を踏み入れる。

「おはようございます、補佐、もう大丈夫なんですか?」

田之上さんが、にこやかに笑いながら歩み寄ってくる。


「ごめんね、二週間も勝手して、もう大丈夫だから・・・また今日からよろしくね?」

そんな話をしながらデスクに向かう。


「はよっす、あれ?田崎補佐、」


武田君が事務所に入ってきた。

そしてそのすぐ後ろから、ヨレヨレ君の姿も・・・





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