ヘタレな野獣
「おはようございます、田崎補佐、田之上さん」
「おっ、おはようございます、長い間勝手して申し訳ございませんでした」

当たり障りのない様、挨拶をした。



「・・・大変だったっすね、補佐・・・
勘違いで逆恨みされたんじゃ、たまったもんじゃないっすよね・・・ホントご愁傷様っす」

えっ?

逆恨み?私が下柳から?


「武田君、その話は・・・」



ヨレヨレ君が、眉間に皺を寄せ、武田君を窘める。


「あの、課長?どういう事、ですか?」

何で武田君が知っていて、当事者の私が知らないの?

そんなの、やっぱおかしいよ・・・


微妙な空気を裂くように、私のデスクの電話が鳴った。


「・・・はい、田崎、えっ?はい、分かりました、すぐに参ります」

人事部からだった。

「人事からです、雨宮課長とすぐに人事に来るように・・・との事です・・」
「わかりました、田崎補佐は先に向かって下さい、僕もすぐに行きますから」



ヨレヨレ君はそう言うと、自分のデスクに行き、何やら捜し物でもしているようだった。


そして私は一人、人事にむかった。


人事に行くと岸田が近寄ってきた。


「客間だよ、今弁護士先生がみえたから・・・」
「えっ?何で弁護士先生?」
「だって、あんた暴行受けたんだよ!?
会社としちゃあ、当然の行動だと思うけど?」




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