ヘタレな野獣
いくら弁解しても、業者と結託してキックバックで手にした金額を折半しようとしたと決め付け、会社には黙っている代わりに、体の関係を強要した。


前の課長は、女性課長だった。


正君は、親子程離れた50代半ばの女性から、辱めを受けるその事に絶えられなかった。


その3ヶ月後・・・

誰にも相談出来ず、しかし、入社後、密かに育んできた下柳との友情・・・

自分の身に起こった一部始終をしたためた手紙を下柳宛てに書き、投函した。


正君が逝った後、下柳の元へ届いた手紙・・・


正君の自殺後、逃げるように退職した、前の課長の居場所を突き止めた下柳はそれなりの鉄槌を下したらしい。


そして・・・


もう1人・・・


きっかけを作った私への怨みは、3年の月日をかけて着々と遂行されていたようだった。


「それは・・・真実なのか?まさか・・・」

動揺を隠せないのは、私だけではなかったようで、山田部長の顔は色を無くしていた。


「事実です、小泉君から下柳宛に送られた手紙も存在しておりました、間違いございません」


「なんて事だ・・・」

「さて田崎さん、今の僕の話を聞いて、どうしますか?」
「っ!!!」

居抜くような視線で私を見るヨレヨレ君に私は言葉が出てこなかった。



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