ヘタレな野獣
自分にそう言い聞かせながら、ヨレヨレ君の運転する車に身を委ねていた。



突然ヨレヨレ君が車を端に寄せて停めた。


私は黙って彼を見た。

ヨレヨレ君も黙ったまま、私を見ていた。


「・・・守ってあげられなくて、ごめん・・」


少しの沈黙の後、いつの間に外したのか、シートベルトから解放されたヨレヨレ君が、私を優しく抱き締めた。


っ!!!!!

抱き締められるとは思っていなかった私は驚いて、彼から逃れようと、もがいた。


「じってして!
お願いですから、じっとしていて下さい」


押し殺した切ない声に私は抗うのを、止めた・・・


体の力を抜いた。


すると、私を抱き締める彼の腕にギュッと力が入り、私はその力強い彼の腕に自分の手を添えた。


「怖い思いをさせてしまいました。
本当に、なんと言えばいいか・・・
僕が、あんな事思い付かなければ、冬子さんがこんなに事に巻き込まれる事は無かったのに・・・」


言葉を発する度に力が込められる腕に、私はしがみついていた。


言いたい事は、山ほどある。


けど・・・



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