ヘタレな野獣
「もう終わり?何だよつまんねぇなぁ」などと声を上げながらギャラリーは散り散りになる。
ポーン
私は彼の背中を押し、到着したエレベーターに押し込んだ。
「大丈夫ですか?」
「あ?今の?あははっ、恥ずかしいところ、お見せしちゃって、あははっ」
「・・・」
「何時もの事なの、だから気にしないで下さい。それから、ありがとう、助けてくれて・・・」
そう、下柳のああいった態度は今回が初めてじゃない。ある日を境に、人が変わった様に冬子への態度が豹変した。
他の社員も何時もの事だと、たいして気にも止めなくなっていた。
そんな中、やはり庇ってくれた事が嬉しくて、感謝の気持ちを伝えた。
「いえっ、そんなっ、お礼なんて・・・」
チラッと見上げた彼は頬を少しピンクに染めて、片手で頭を掻いていた。
「自己紹介が未だでしたね。私、営業部第二課、課長補佐の田崎冬子です」
胸ポケットの名刺入れから名刺を取り出し、彼に渡す。
「!ご丁寧に・・・生憎僕、今名刺持ってなくて・・・」
慌てて両手で私の名刺を受け取る仕草が何だか小動物の様で、少し笑えた。
「経歴書、頂きましたから!
これからよろしくお願い致します!」
私はサッと右手を差し出した。
「えっと・・・?」
そんな私の態度に困惑し戸惑いの表情を浮かべる彼は、益々小動物化している。
「大丈夫。私が貴方を立派な課長にしてあげます」
何故か、直感とは別の、何ていうか言葉に表すのは難しいんだけど。
大丈夫この人ならって、思っちゃったんだよね。
5月のGW明けの今日、正に私達の戦いの火蓋が切って落とされた。
ポーン
私は彼の背中を押し、到着したエレベーターに押し込んだ。
「大丈夫ですか?」
「あ?今の?あははっ、恥ずかしいところ、お見せしちゃって、あははっ」
「・・・」
「何時もの事なの、だから気にしないで下さい。それから、ありがとう、助けてくれて・・・」
そう、下柳のああいった態度は今回が初めてじゃない。ある日を境に、人が変わった様に冬子への態度が豹変した。
他の社員も何時もの事だと、たいして気にも止めなくなっていた。
そんな中、やはり庇ってくれた事が嬉しくて、感謝の気持ちを伝えた。
「いえっ、そんなっ、お礼なんて・・・」
チラッと見上げた彼は頬を少しピンクに染めて、片手で頭を掻いていた。
「自己紹介が未だでしたね。私、営業部第二課、課長補佐の田崎冬子です」
胸ポケットの名刺入れから名刺を取り出し、彼に渡す。
「!ご丁寧に・・・生憎僕、今名刺持ってなくて・・・」
慌てて両手で私の名刺を受け取る仕草が何だか小動物の様で、少し笑えた。
「経歴書、頂きましたから!
これからよろしくお願い致します!」
私はサッと右手を差し出した。
「えっと・・・?」
そんな私の態度に困惑し戸惑いの表情を浮かべる彼は、益々小動物化している。
「大丈夫。私が貴方を立派な課長にしてあげます」
何故か、直感とは別の、何ていうか言葉に表すのは難しいんだけど。
大丈夫この人ならって、思っちゃったんだよね。
5月のGW明けの今日、正に私達の戦いの火蓋が切って落とされた。