ヘタレな野獣
大切なモノ・・・
何時もより少し遅い朝を迎えた私は、クローゼットの奥に掛けてある、黒のアンサンブルを取り出してクリーニングから戻ってきたタグが残っていないか、軽く確かめた。
6月30日、そう、今日はあの人の命日……
何日か前に有給休暇の届けを出し、今日に至る。
毎年同じ時間にあの人の実家で、あの人と縁のある人達と、あの人を偲んで集まる。
今までの私は、その席に顔を出す事は無かった。
一回忌三回忌と、私はあの人のお父さんとだけ、行動を共にしていた。
そんなお父さんから、人が聞けばなんて事を、と耳を疑うような事を言われたけど、今になって、お父さんの優しさに、目頭が熱くなる思いがした。
過去にしよう、正君を思い出に変える時が、来たんだ。
だから、私は、ちゃんと正君にサヨナラが言えるよう、キチンとした格好で、会いに行こうと決めたんだ。
「ご無沙汰しています、お変わりありませんか?」
一年振りに私を迎えてくれたその人は、あの日と何ら変わる事無く、優しい笑顔を私にくれた。
「やぁ、とこちゃん、元気にしてたかい?
相変わらず、べっぴんさんだねぇ」
6月30日、そう、今日はあの人の命日……
何日か前に有給休暇の届けを出し、今日に至る。
毎年同じ時間にあの人の実家で、あの人と縁のある人達と、あの人を偲んで集まる。
今までの私は、その席に顔を出す事は無かった。
一回忌三回忌と、私はあの人のお父さんとだけ、行動を共にしていた。
そんなお父さんから、人が聞けばなんて事を、と耳を疑うような事を言われたけど、今になって、お父さんの優しさに、目頭が熱くなる思いがした。
過去にしよう、正君を思い出に変える時が、来たんだ。
だから、私は、ちゃんと正君にサヨナラが言えるよう、キチンとした格好で、会いに行こうと決めたんだ。
「ご無沙汰しています、お変わりありませんか?」
一年振りに私を迎えてくれたその人は、あの日と何ら変わる事無く、優しい笑顔を私にくれた。
「やぁ、とこちゃん、元気にしてたかい?
相変わらず、べっぴんさんだねぇ」