ヘタレな野獣
僕とまさ、・・・小泉は、大学時代からの付き合いなんです。
今上のアイツの部屋に集まってる連中も、殆どがその当時からの付き合いなんです。
就職先は皆違えど、二、三ヶ月に一度か二度、時間が合えば学生時代にバイトしていたあの居酒屋に集まって、馬鹿やってました。
仕事にも慣れ、少し自信が出てきたある日、珍しくアイツから会いたいと連絡があったんです。
駅前の、コーヒースタンドで待ち合わせて、あの時のアイツのあんな顔は初めて見ました。
『好きな人が出来たんだ』
開口一番にそう言ったアイツ。
おもむろに携帯を取り出して、この子なんだと、如何にも隠し撮りしたのがバレバレな写真を僕に見せたんです。
大学一年の時、アイツの母親が外に男作って家を出てから、女性不振になっていたアイツが好きになった女性・・・
僕はただ素直にアイツに幸せになって欲しかった。
それなのに、それなのにアイツは・・・
信じられませんでした、まさかアイツが・・・
あの日、僕の目に映った冬子さんは、眩しいくらい凜として、目が離せなかった。
アイツが逝って、2日経った葬儀の時、僕はおじさんからアイツの携帯を渡されたんです。
そこには未送信の、僕宛のメールが一通ありました。
“とこちゃんの事、頼むよ・・・
タケしか、居ない、どうか、冬子・・・・・”
中途半端な文面、きっとアイツは僕にこれを送るかどうか、最後の最期まで、迷ったんだと思うんです。
『何故正君は自殺したの?
何故私に何も言わず、独りで逝ってしまったんの?』
毎月毎月、この家に通う冬子さんが仏前でアイツに投げ掛ける言葉は毎回それでしたね…
そんな冬子さんを僕はずっと見てきたんです。
今上のアイツの部屋に集まってる連中も、殆どがその当時からの付き合いなんです。
就職先は皆違えど、二、三ヶ月に一度か二度、時間が合えば学生時代にバイトしていたあの居酒屋に集まって、馬鹿やってました。
仕事にも慣れ、少し自信が出てきたある日、珍しくアイツから会いたいと連絡があったんです。
駅前の、コーヒースタンドで待ち合わせて、あの時のアイツのあんな顔は初めて見ました。
『好きな人が出来たんだ』
開口一番にそう言ったアイツ。
おもむろに携帯を取り出して、この子なんだと、如何にも隠し撮りしたのがバレバレな写真を僕に見せたんです。
大学一年の時、アイツの母親が外に男作って家を出てから、女性不振になっていたアイツが好きになった女性・・・
僕はただ素直にアイツに幸せになって欲しかった。
それなのに、それなのにアイツは・・・
信じられませんでした、まさかアイツが・・・
あの日、僕の目に映った冬子さんは、眩しいくらい凜として、目が離せなかった。
アイツが逝って、2日経った葬儀の時、僕はおじさんからアイツの携帯を渡されたんです。
そこには未送信の、僕宛のメールが一通ありました。
“とこちゃんの事、頼むよ・・・
タケしか、居ない、どうか、冬子・・・・・”
中途半端な文面、きっとアイツは僕にこれを送るかどうか、最後の最期まで、迷ったんだと思うんです。
『何故正君は自殺したの?
何故私に何も言わず、独りで逝ってしまったんの?』
毎月毎月、この家に通う冬子さんが仏前でアイツに投げ掛ける言葉は毎回それでしたね…
そんな冬子さんを僕はずっと見てきたんです。