ヘタレな野獣
「失礼します、二課の田崎です・・・
あれ?岸田、部長は?」
「あっ、冬子、何?部長に用?」
人事に行くと、中には岸田1人しか居なくて。

「ったく、今から行くって連絡入れたのになぁ・・・」

そう言いながら時計に目をやると、既に正午を大きく回っていた。

「お昼?」
「うん、5分程前に行った・・・、そちらの方は?」

岸田は目ざとく、人事のカウンターに居心地悪そうに突っ立ってるヨレヨレ君を見つけた。

「今日から私の上司になる、雨宮課長」
うげっ、あの人が?、的な顔で私に目配せ。
余り感情を顔に出さないで頂きたい岸田女史。

「だって、聞いたよ?人違いだったんでしょ?あの人。いいの?あんな、いかにもって人」
「良いも悪いも、大丈夫、私が育てるから」
「は?冬子、アンタ何言ってるの?気は確か?」

岸田は呆れたと言わんばかりに私の顔を覗き込む。

「ほら、今流行ってるじゃ無い?男の子を育成するゲーム、まぁ、それのリアルバージョンかな」

私はちょっとふざけてそんな風に言った。

「・・・ふ〜ん、冬子にそんな趣味あったんだ、何か、いがぁい。
っも何か面白そう、私も混ぜてよ!」

あらら、岸田の事だから、馬鹿にされるのかと思いきや、反対にノリノリだし。

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