ヘタレな野獣
それから冬子がいつもより早く家を出るもう1つの理由・・・
それは、冬子の直属の上司にあたる課長の初出勤の日だから。
アメミヤ ツヨシ
ヘッドハントした優秀な人物だとか・・・
一応世話になった元の会社に迷惑が掛からないよう、引き継ぎをキチンとこなした上での転職。
立つ鳥後を濁さず・・・という事なのか。
ゴールデンウィーク明けの本日、初出勤という訳。
さぞや素敵な殿方に違いない。
いつもより念入りに化粧を施し、ウエストを少し絞り込んだスーツに身に包み、冬子はまだ見ぬ上司の、膨れに膨らんだ妄想を胸に部屋を後にした。
電車で10駅をやり過ごし、目的の駅で下車をし、改札を抜ける。
「冬子、おはよう」
「あっ、岸田、おはよ!」
人事課の主任で冬子の同期の友人、岸田まりあと一緒になる。
入社式で隣同士になって以来、友情を育んできた。
『私は岸田まりあ、岸田でいいからね』
初対面の冬子に苗字を呼び捨てにするよう強要して来た岸田まりあ。
冬子の事は名前で呼ぶくせに、決して名前で呼ぶ事を許さない女である。
まぁ、まりあ、なんて可愛い名前を付けられた岸田のきも分からないでも無いけど・・・
「初顔合わせだね、お宅の課長様。どうよ、緊張してんじゃないの?
いつもより、化粧も濃い気がするけど?」
なんて肘で小突いてくるあたり、岸田も少しは興味があるのか・・・
それは、冬子の直属の上司にあたる課長の初出勤の日だから。
アメミヤ ツヨシ
ヘッドハントした優秀な人物だとか・・・
一応世話になった元の会社に迷惑が掛からないよう、引き継ぎをキチンとこなした上での転職。
立つ鳥後を濁さず・・・という事なのか。
ゴールデンウィーク明けの本日、初出勤という訳。
さぞや素敵な殿方に違いない。
いつもより念入りに化粧を施し、ウエストを少し絞り込んだスーツに身に包み、冬子はまだ見ぬ上司の、膨れに膨らんだ妄想を胸に部屋を後にした。
電車で10駅をやり過ごし、目的の駅で下車をし、改札を抜ける。
「冬子、おはよう」
「あっ、岸田、おはよ!」
人事課の主任で冬子の同期の友人、岸田まりあと一緒になる。
入社式で隣同士になって以来、友情を育んできた。
『私は岸田まりあ、岸田でいいからね』
初対面の冬子に苗字を呼び捨てにするよう強要して来た岸田まりあ。
冬子の事は名前で呼ぶくせに、決して名前で呼ぶ事を許さない女である。
まぁ、まりあ、なんて可愛い名前を付けられた岸田のきも分からないでも無いけど・・・
「初顔合わせだね、お宅の課長様。どうよ、緊張してんじゃないの?
いつもより、化粧も濃い気がするけど?」
なんて肘で小突いてくるあたり、岸田も少しは興味があるのか・・・