ヘタレな野獣
「えぇっと、人事情報によりますとぉ・・・」
岸田は歩きながらさながらマイク片手にリポートするような仕草を私に見せる。
岸田曰く・・・
歳は31歳、身長180オーバーで、なかなかの色男だそうだ。
まぁ。履歴書を見た訳ではないらしいから、どこまでホントか分からないけど・・・
「何でも仕事の鬼、らしくて、キレッキレなんだってさ。何か一度切られた取引先に単身で乗り込んで、再度取引出来るようにまで話を付けたって武勇伝があるんだって。
そんな人が、何でウチ、なんだろうねぇ・・・」
昇進の内示が出た時、新しいポストに就く課長の素性を掻い摘み聞かされていた冬子は、それが本当だと岸田の話で認識した。
元々冬子は人を色眼鏡で見る事に抵抗があるから、なるべくその手の話は聞き流すようにしてきたけど、まぁ、本日滞り無く対面できるんだから、その位の買い被りは良しとして・・・
「じゃ、課長様に毒されないで、仕事頑張んなよ!」
岸田とは、会社のエントランスで別れた。
岸田があんな事言うから、何か緊張してきた。
襟を両手で引っ張り、少し気合いを入れて、従業員専用のエレベーターに乗り込む。
岸田は歩きながらさながらマイク片手にリポートするような仕草を私に見せる。
岸田曰く・・・
歳は31歳、身長180オーバーで、なかなかの色男だそうだ。
まぁ。履歴書を見た訳ではないらしいから、どこまでホントか分からないけど・・・
「何でも仕事の鬼、らしくて、キレッキレなんだってさ。何か一度切られた取引先に単身で乗り込んで、再度取引出来るようにまで話を付けたって武勇伝があるんだって。
そんな人が、何でウチ、なんだろうねぇ・・・」
昇進の内示が出た時、新しいポストに就く課長の素性を掻い摘み聞かされていた冬子は、それが本当だと岸田の話で認識した。
元々冬子は人を色眼鏡で見る事に抵抗があるから、なるべくその手の話は聞き流すようにしてきたけど、まぁ、本日滞り無く対面できるんだから、その位の買い被りは良しとして・・・
「じゃ、課長様に毒されないで、仕事頑張んなよ!」
岸田とは、会社のエントランスで別れた。
岸田があんな事言うから、何か緊張してきた。
襟を両手で引っ張り、少し気合いを入れて、従業員専用のエレベーターに乗り込む。