ヘタレな野獣
「アンタさぁ、何でいつも厄介な事に首突っ込むかなぁ・・・」
岸田が呆れた顔で私を見ている。
「ほっときゃいいじゃん、どうせ人違いで来た奴でしょ?どうなろうと冬子には関係ないじゃん」
「・・・・・」
定時後、どうにも気持ちが収まらなくて、岸田を誘って行きつけの串カツ屋で、串にがっつきながら事の顛末を聞いて貰っている。
「人畜無害だと、冬子が勝手に思い込んでたから、今回みたいな事になるんだよ・・・」
岸田の言う“今回”とは、山下部長の事ではなく、夕べから今朝にかけての事で、
「見た目、少し位変わったって、ヨレヨレ君には変わりないって?
冬子の事だから大方そんなとこじゃないの?」
「おぉお…流石は岸田、当たってるわ、
その通り、お見事」
思わずパンパンと手を叩いてしまった。
「っもぉお!とおこ!」
叩いた手をバシッと叩かれ、シュンとうなだれた私。
「で?、奴に迫られて、どうだったのよ」
グホッ…
口に入れた串カツが、咳き込んで吐き出してしまった。
「やだぁ、冬子、きたなぁい…」