ヘタレな野獣
「へへへっ・・・
お醤油ついれる・・・」

私は慌てて口元に指をやる。

ホントに付いてた、お醤油・・・・・


ここは、お礼を言うべきなのか、それとも


「あっ、ありがと・・・」

言いかけた私に、いきなりヨレヨレ君が倒れ込んできた。

「・・グッ・・グゥッ・・」


・・・まっまさか・・・?

ヨレヨレ君は私の肩に顎を乗せ、何故か髪の毛を掴んで、スヤスヤお休みになった御様子・・・

って、私の髪の毛掴んだまま、寝るなっつうの!

「雨宮君、雨宮君、ちょっと起きてよ!」


「ン・・とおこぉ」

・・・・・


寝言で私の名前を呼ぶなんて、有り得ないっつうの!

だけど、確かに今、この男は私の名を呼んだんだ。


もしかして、私の事、好き・・・?

なんてね、そんな事、有り得る訳ないし・・・

でも・・・

っ!!!!


なっなに?
しっ信じられない、何なのよお!

ヨレヨレ君の左手が動いたと思ったら・・・

私の胸をサスサス擦ってる・・・


「あぁまぁみやぁあああ!」

思い切り突き飛ばしたら、私も一緒に倒れ込んでしまった。

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