ヘタレな野獣


誰かが私の髪を撫でてる。


気持ちいい・・・

誰、なのかなぁ・・・

「・・ん・・・」

ゆっくりと目を開けると、見慣れぬ風景が視界に飛び込んできた。


「おはようございます」

はっ!
えっ?

私は慌てて起き上がる。

何故かベッドの上で。

「どうかしましたか?」

淡々と私に声をかけてくるヨレヨレ君。

私は思わず掛け布団を体に引き寄せ、身構えた。

「・・・はははっ、何もしてませんよ、ほら、服だって・・ね?
フローリングの上で寝るのは、流石に体が痛いんで・・・こっちに運んじゃいました」


そっ、そうだ・・・
私あれからヨレヨレ君の胸に顔を埋めて・・・

きゃあああぁぁあ!

私は昨夜の自分の行動を思い返し、思いっきり赤面してしまった。

「・・・」
「・・・冬子さん?」


えっ?何?今・・・名前呼び、した?

また、心臓が暴れ出す。

こんな至近距離で、私の顔を覗き込まないで。

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