ヘタレな野獣
社に戻ったのは既に正午を回っていた。
慌てて岸田のデスクに内線を入れ、一階のエントランスで待ち合わせた。
「ごめんごめん、思ったよりプレゼン長引いちゃって・・・」
目的のパスタ屋さんに向かう道中、随分と待たせてしまった岸田に謝る。
「それより昨日さぁ雄馬から妙な事聞いちゃってさぁ・・・」
「妙な事?」
そんな会話をしながら、店に入り日替わりランチを注文した。
「外にあたしを誘う時はさ、冬子が、何か問題を抱えてる時、だよね?」
出されたお水を一口飲んだ後、岸田が切り出した。
「雄馬の話は置いといて、ほら、何?」
「・・・・・」
「えっ?そんなに深刻な訳?」
付き合いが長いせいか、はたまた根本的に洞察力が備わっているのか、岸田はこういう少しの私の変化を敏感に察する。
「実はさぁ、」
今朝の段階で、私は週末の出来事を岸田に相談するつもりだったけど。今はそんな事どうでもいい、それよりも、田中部長とヨレヨレ君の関係、それからヨレヨレ君のあの的確な指示に驚いた事、それらをどうにかクリアにしたかった。
食後に出されたコーヒーを、一口二口、口に運ぶ。
「・・・うちの部長と、ねぇ・・・」
「ちゃんと見た訳じゃ無いけど、1人はヨレヨレ君に間違いない。“タケル君”って、ハッキリ言ってたし、それに長年聞き慣れた部長の声だもん、間違う訳ないよ」
「・・・雄馬が、ね?」
慌てて岸田のデスクに内線を入れ、一階のエントランスで待ち合わせた。
「ごめんごめん、思ったよりプレゼン長引いちゃって・・・」
目的のパスタ屋さんに向かう道中、随分と待たせてしまった岸田に謝る。
「それより昨日さぁ雄馬から妙な事聞いちゃってさぁ・・・」
「妙な事?」
そんな会話をしながら、店に入り日替わりランチを注文した。
「外にあたしを誘う時はさ、冬子が、何か問題を抱えてる時、だよね?」
出されたお水を一口飲んだ後、岸田が切り出した。
「雄馬の話は置いといて、ほら、何?」
「・・・・・」
「えっ?そんなに深刻な訳?」
付き合いが長いせいか、はたまた根本的に洞察力が備わっているのか、岸田はこういう少しの私の変化を敏感に察する。
「実はさぁ、」
今朝の段階で、私は週末の出来事を岸田に相談するつもりだったけど。今はそんな事どうでもいい、それよりも、田中部長とヨレヨレ君の関係、それからヨレヨレ君のあの的確な指示に驚いた事、それらをどうにかクリアにしたかった。
食後に出されたコーヒーを、一口二口、口に運ぶ。
「・・・うちの部長と、ねぇ・・・」
「ちゃんと見た訳じゃ無いけど、1人はヨレヨレ君に間違いない。“タケル君”って、ハッキリ言ってたし、それに長年聞き慣れた部長の声だもん、間違う訳ないよ」
「・・・雄馬が、ね?」