ヘタレな野獣
コクンコクンと大きく頷いた。早く早く・・・


「なんと!!!・・・・・」
「岸田あぁあ!
勿体ぶるな!早く早く!」

ごめんごめんと笑った後、岸田は静かに口を開いた。


「アマミヤ タケル、ヨレヨレ君だったのよ・・・」
っ!!!
「じゃ、アメミヤ ツヨシって、誰よ!?」

最近のヨレヨレ君を見ていて、なんとなく岸田が口にする名前に、見当がついてしまっていた私は、その事を誤魔化す為、もう一人の“雨宮”という名を出した。



「あはっ、やっぱあたしと冬子は似てるねぇ、雄馬に今冬子が言った事とおんなじ台詞はいたもん・・・
アメミヤさんが、5年前事務方に異動になってたらしいよ、つまりは、経歴詐称ってとこ」


なる程、ね・・・


乗り出した体を椅子に深く戻し、コーヒーを口に運んだ。


「そのアメミヤさんに雄馬、色々お世話になってたらしくってさ、記憶に残ってたらしいわ」


「・・・ねぇ岸田ぁ?
なんでそんな嘘を付いてまでここに来たんだろうねぇ、アイツ・・・」
「だぁねぇ、
それこそ田中部長が一枚咬んでんじゃない?」

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