ヘタレな野獣
「やる気あるの!?
ったく、あなた達、仕事舐めてない!?」

やる気がないんなら、帰っていいわっ、吐き捨てるように言葉を投げつける。


『サインズだめだったから荒れてるな』『女のヒステリー程みっともないものは無いな』『やだぁあ、あたしあぁはなりたくない』


こそこそ、ひそひそ、聞こえてるっつうの!

岸田と話してから数日間、私は何故か荒れていた。

原因は分かってる。


新規の契約が取れなかった事は関係ない。


原因は、ヨレヨレ君。

人を馬鹿にした、あの態度にイラついていた。


私が何にも知らないと思ってる事にイラついて、それを部下にぶつけている、最低だ。

けど、制御できない。


何故腹が立つのかさえ、分からないのだ。


「補佐、いい加減にしたらどうっすか、女が下がりますよ!?」

うっさい!
「武田に何が分かるのよ!
知った風な口、聞かないで!」


あぁあ、一番信頼している武田君にまで、あたる私は、ある意味壊れてるかも・・・


こんな日は早く帰って寝るに限る。


「今日は残業無し、一切禁止、分かったらとっとと仕事、片付ける!」


パンパンと手を叩きながら二課の面々に発破をかける。


そんな私を隣のデスクから、冷たい視線を送るヨレヨレ君に、私は全く気付かなかった。

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