ヘタレな野獣
留守電からかれこれ一時間。

絶対折り返しの連絡なんか入れてやるもんかと、強く思っていたけど、もし、緊急の用件だったら?
いや、もしそうなら何度もかけてくるはず。

それに携帯だって、・・・


私は鞄の中に入れっぱなしの携帯を取り出して・・・固まった。


でっ、電源が入ってねぇえ!!!!!


電源ボタンを慌てて入れてみる。


うっそ・・・

バッテリー切れだなんて・・・

慌ててケーブルを差し込み、起動させた。

アドレス帳からヨレヨレ君に発信する。


数回のコールで繋がった。


「もっ、もしもし・・・田崎です」
『・・・今、どちらですか?』
えっ?「自宅、ですが・・・」
『分かりました。一旦切りますよ、携帯、・・・ツゥツゥ・・・』
「いや、あのっ、ちょっ、あまみや・・・」

はぁあ?
携帯切れてるし・・・


ピンポーン・・・

誰よ、こんな時に!

切れた携帯片手にインターホンのモニターに目をやる。


「げっ、マジ!」
思わず口走り、私は暫く動けないでいると、二度目の催促がある。


仕方なく解錠すると、暫くしてまたチャイムが鳴る。


はいはい、今開けますよぉ・・・

玄関の鍵を開けると、ヨレヨレ君が厳しい表情で立っていた。

「こっこんな時間に、どうしたんですか?」


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