ヘタレな野獣
とにかくここでは何なので、部屋にあがって貰うよう勧めたけど、ヨレヨレ君はここで結構と断られた。

・・・・・

「あのおぉ・・・何ですか?」

沈黙に耐えきれず、言葉を発したのは、私だった。

「あなた、課長補佐の前の役職は、何でしたか
?」

はぁああ!?
「し、主任ですけど・・・」
「だったら、分かるはずですよね!?」

言っている意味が分からない。
「何が、ですか!?」

「まさか、分からないんですか?ふぅ・・・」

カッチィ~ン

いきなり家に押し掛けて来といて、何を言い出すかと思えば。

「言ってる意味を理解しかねますが!?」
「・・そうですか、皆迄言わないと分からない、と言う事ですか・・・いいでしょう・・・
ハッキリ言います、田崎さん、あなたは管理職失格です。
週明けにでも、辞任の申し出をなさい」

っ!!!!!

「ちょっ、何を言ってるの?意味分かんない!」
「ですから器では無いと言っているのです」


心臓が違う意味で跳ね上がる。


ヨレヨレ君の眼が、怖い。

私を見透かしたような眼差しが、怖い。

「今週明けからのあなたの部下に対する態度は目に余るモノでした。身に覚えがあるでしょう?
確かに人間誰しも四六時中機嫌が良い訳ありません。
ですから、最初は単に体調が優れないのかと思っていましたが……」

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