ヘタレな野獣
何なんだよ、コイツ、喧嘩売ってんのか?

私が黙って黙々と食事をしていると、信じられない事を言い出した。


「おい、お前、いい気になるなって、前に忠告したよなぁ?忘れたのか?・・・
まぁ、いいや、」

何が言いたいの?

私は数日前の、給湯室の一件を思い出し、体を固くした。

「葛城、桜井、お前達、いいモン見せてやるよ、・・ほら、これ、よく撮れてるだろ?」
「うわぁ、なんか凄いっすね、こんな場所でいいんすか?こんな事して」
「わぁ、こっちも、えっ?この二人って、まさか・・・」

下柳は部下に何かを撮った紙を見せたみたいだったが、何故か会話が途切れた。


そして、タダならぬ視線を感じて目線を上げると、向かい側に座った男三人が私を見ながらニヤニヤ笑っていた。

何?

気味が悪い、私はまだ三分の一程残っている定食を諦め、席を立とうとした、その時、見えてしまったんだ、男達が見ていた紙切れに、私とヨレヨレ君の姿が・・・


無意識だった、男三人の前に置かれた二枚の紙をひっ掴み、その場でビリビリに破った。

イヤな汗まで出てきて、今の私の心拍数はハンパない。


「あぁあ、勿体無いなぁ、せっかくそこの掲示板に貼ろうと思ってたのに・・・
でも、またプリントアウトすりゃいいだけの事か、許してやるよ、タ、サ、キ、補佐?
ぎゃははははっ」


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